モニターを探していると、「HDR」や「DisplayHDR」という文字を目にするようになりました。
「HDRって何なの?」「HDR10?DisplayHDR?違いは?」
こういった疑問に答えるため、モニターのHDRについて簡潔に解説していきます。
HDRってなに?
HDRとは「Hi Dynamic Range(ハイダイナミックレンジ)」の略称です。
HDRは、普通の映像(SDR=Standard Dynamic Range)よりも映像の明るさの幅を広げて人間の目で見たような自然な表現を目指した技術です。
ちょっと画像で説明してみますね。



今まで暗くて黒つぶれしてしまっていたところや、明るすぎて白飛びしていた部分をきれいに表現できるようになります。
あくまでイメージですが、このように表現するのがHDRです。
HDR10とDIsplayHDR
HDR対応モニターを探していると、「HDR10」と「DisplayHDR」という文字を目にすると思います。
2つのそれぞれの違いについて説明していきます。
HDR10は映像側の規格
HDR10というのは、簡単に言えば、映像が10bitでの明暗差を記録しているということを示しています。
なので、HDR10対応モニターというのは「HDR10の映像を出力できるモニターです。」ということ。
HDRの映像を表示できるというだけで、「記録された映像の明暗差を正確に表現できます!」というわけではないのです。
モニターによって表現できる明暗差はまちまちであり、HDR10対応というだけで、実際にはSDRと変わらないモニターもあるかもしれません。(そんなモニターはないとは思いますが...。)
Display HDRはHDRモニターの性能を表している
そうした状況から、モニター業界で定められたのが「Display HDR」です。
DisplayHDRには現在7種類の規格が存在していて、それらを振り分けているのが主に以下の表の5つのポイントです。
最小 ピーク輝度 | 色の範囲 | 典型的な 調光 技術 | 最大 黒レベル 輝度 | 最大 バックライト調整 待ち時間 | |
---|---|---|---|---|---|
DisplayHDR 400 | 400 | sRGB | 画面レベル | 0.4 | 8 |
DisplayHDR 500 | 500 | WCG * | ゾーンレベル | 0.1 | 8 |
DisplayHDR 600 | 600 | WCG * | ゾーンレベル | 0.1 | 8 |
DisplayHDR 1000 | 1000 | WCG * | ゾーンレベル | 0.05 | 8 |
DisplayHDR 1400 | 1400 | WCG * | ゾーンレベル | 0.02 | 8 |
DisplayHDR400 トゥルーブラック | 400 | WCG * | ピクセルレベル | 0.0005 | 2 |
DisplayHDR500 トゥルーブラック | 500 | WCG * | ピクセルレベル | 0.0005 | 2 |
ポイントに関してざっくり説明するならば、
- ピーク輝度がどれだけ出ているか(HDRを表現するにはとにかく画面の輝度が必要)
- モニターの黒表示部分はどこまで黒くできるのか(バックライトを段階的、局所的に制御して黒い所を黒くする)
ということをDisplayHDR規格で定めています。
表を見ていただければ、DisplayHDR~の数字部分は「ピーク輝度」を表していることがわかりますね。
単純にDisplayHDR 「400」等の数字が大きくなればなるほど高性能なモニターですので、選ぶ際の目安としては数字が大きいものを選びましょう。その分価格も高くなりますが...。
(「DisplayHDR 400 TrueBlack」と「DIsplayHDR 500 TrueBlack」はピクセルレベルの黒制御が必要なので、有機ELディスプレイ向けの規格です。)
選ぶならDisplayHDR600以上がおすすめ
実は、DIsplayHDR400モニターと普通のHDR10対応モニターでは、輝度の差にあまり違いはないことが多いので、この2つで悩んでいるのであればあまり気にしなくてもよいと思います。
というのも本格的なHDRを表現するのであれば、より高度なバックライト制御が必要になってくるから。
DisplayHDR規格 | バックライト制御レベル |
---|---|
DisplayHDR400 | 画面レベル |
DisplayHDR600 | ゾーンレベル |
DisplayHDR1000 | ゾーンレベル |
先ほどの表から抜粋すると、DisplayHDR400の場合、画面全体で均一にバックライトを制御しHDRを表現しようとしているのに対し、DispayHDR600や1000は画面を区切ってスポット的にバックライトを制御しています。
その分価格が高くなってしまいますが、HDR目的でモニターを購入するならばDisplayHDR600以上のモニターを選ぶことをオススメします。
DisplayHDR600対応のVAパネルモニター
なるべく安価にDisplayHDR600を体験するのであれば、VAパネルを使ったモニターがおすすめです。


VAパネルはもともとコントラスト比が高いため、締まった黒の表現が特異なパネル。映像鑑賞にはもってこいのモニターです。
DisplayHDR600対応のIPSパネルモニター
IPSパネル採用品になるともともとのパネルのコントラスト比が低いので、よりバックライトの制御が高度になり難しくなるため価格が上がります。


DisplayHDR1000対応モニター
DisplayHDR1000はもちろんとんでもなく高価。クリエイターなど、プロ向けの製品が多く存在しています。

まとめ:HDRは美麗な映像を体験できるのでゲーマーにもおすすめな機能
もはやエンタメ向けであれば必須になってきているHDR。
これからモニターやテレビを購入するつもりで、映像鑑賞やゲームをするのであればHDR対応製品がおすすめです。特にDisplayHDR認証製品はHDRの品質を保証されているので安心です。
以下の記事でも、HDRモニターを紹介していますので参考にどうぞ。



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