- HDRってそもそも何なの?
- HDR10とDisplayHDRとの違いって?
- DisplayHDRの規格400、600、1000とは?
- Display HDRモニターの選び方とオススメのモニターは?
モニターのスペックでよく見かける「HDR10」や「DisplayHDR」というキーワード。
モニターのHDRにまつわる疑問についてカンタンに解説していき、モニター選び方やオススメの製品についてもサラッと解説していきたいと思います。
HDRってなに?
HDRとは「Hi Dynamic Range(ハイダイナミックレンジ)」の略称。HDRは映像の明るさの幅を広げて人間の目で見たような自然な表現を目指した技術です。
実はモニターって表現できる明暗の差が人間よりもかなり小さく、表現できる幅を超えてしまうと黒つぶれや白飛びといった現象が起きます。
ちょっと画像で説明してみますね。
HDRのおかげで今まで暗くて黒つぶれしてしまっていたところや明るすぎて白飛びしていた部分を、より人間の目で見たリアルな映像に近づけることができます。
実際のモニターでHDRを切り替えてを撮影して見るとこんな感じ
白とびが軽減されていることが確認できますね。
HDR10とDIsplayHDRの違い
- 「HDR10」は映像の規格
- 「DisplayHDR」はモニターの規格
HDR対応モニターを探していると「HDR10」と「DisplayHDR」という文字を目にすると思いますが、この2つは似ているようで意味が全く違うので注意しましょう。
HDR10とは : 映像データの規格
まず、HDR10というのは2015年にCEAが定めたHDRコンテンツに対応するフォーマットの事です。
HDR10は、世界のモニターブランドの多くが広く採用している規格です。Blu-Ray Association、HDMI Forum、UHD Associationが共同で定義したもので、HDR映像コンテンツの圧縮伝送をサポートします。HDR10は、2015年8月27日にCEA(Consumer Electronics Association)によってHDRコンテンツに対応するフォーマットとして正式に定義されました。モニターでHDRの要件を満たすためには、HDR10形式のファイルをデコードできることが重要な要素の一つです。
HDR10とは何ですか? | ベンキュージャパン
要するにHDR10対応モニターというのは「HDR10形式の映像を出力できるモニターです。」ということ。HDRの映像を表示できるというだけで、記録された映像のHDRを正確に表現できるという保証があるわけではない点に注意しましょう。
Display HDRとは:HDRモニターの性能を示す規格
HDR対応モニターの性能が消費者にはわかりにくい状況から、モニター業界で定められたのが「Display HDR」です。
HDR10という表記だけでは大部分の人がモニターの性能はわからない。しかし、「DisplayHDR〇〇」を見ればモニターのHDR性能が一目瞭然になる消費者にとってありがたい規格というわけです。
DisplayHDR は、HDR の品質とパフォーマンスのオープン スタンダードであり、すべての仕様を満たすディスプレイのみが DisplayHDR ロゴを表示できます。
VESA 認定 DisplayHDR™
DisplayHDRは認定要件を満たすモニターのみにつけられており、主に以下5つの要件でティアを振り分けています。
- 最小ピーク輝度
- 色域
- 調光技術
- 最大黒レベル輝度
- 最大バックライト調整待ち時間
主にこの5項目をどれだけ満たしているかでDisplayHDR〇〇の〇〇の数字部分が変わってきます。
そして今現在のDisplayHDR規格のティアは下表のように分けられています。
DisplayHDR規格 | 最小 ピーク輝度 | 色の範囲 | 典型的な 調光 技術 | 最大 黒レベル 輝度 | 最大 バックライト調整 待ち時間 |
---|---|---|---|---|---|
DisplayHDR 400 | 400 | sRGB | 画面レベル | 0.4 | 8 |
DisplayHDR 500 | 500 | WCG | ゾーンレベル | 0.1 | 8 |
DisplayHDR 600 | 600 | WCG | ゾーンレベル | 0.1 | 8 |
DisplayHDR 1000 | 1000 | WCG | ゾーンレベル | 0.05 | 8 |
DisplayHDR 1400 | 1400 | WCG | ゾーンレベル | 0.02 | 8 |
DisplayHDR400 TrueBlack | 400 | WCG | ピクセルレベル | 0.0005 | 2 |
DisplayHDR500 TrueBlack | 500 | WCG | ピクセルレベル | 0.0005 | 2 |
DisplayHDRモニターの選び方を解説:HDR400は意味ない?
DisplayHDR400は規格の中でも最低限の要件を満たしているモニター。表記の無いモニターと比べて見え方は大して変わらないことのほうが多いです。DisplayHDR規格が無いからHDRコンテンツを再生できないというわけでもないです。
HDRコンテンツを楽しむことを目的としているならDisplayHDR600以上の製品がおすすめです。
DisplayHDR 400 vs 600 vs 1000
DisplayHDR規格 | 最小ピーク輝度 | 色域 | バックライト制御レベル |
---|---|---|---|
DisplayHDR400 | 400cd/m2 | sRGB | 画面レベル |
DisplayHDR600 | 600cd/m2 | WCG | ゾーンレベル |
DisplayHDR1000 | 1000cd/m2 | WCG | ゾーンレベル |
DisplayHDR400は規格の中でも最低。DisplayHDR600や1000と比べて輝度、色域、バックライト制御において大きな差があります。
- ピーク輝度
- HDRを表現するにはとにかく画面の輝度が必要
- バックライト制御
- バックライトを段階的、局所的に制御して黒い所を黒くする
- 色域
- 明暗部の階調の質に大きくかかわる
HDRでは特に重要なのが上記の要件なので、バックライトの輝度と制御が緻密になればなるほど黒つぶれや白飛びの無い映像表現が可能になるということです。
繰り返しになりますが、HDRが目的でモニターを購入するならDisplayHDR600以上のモニターを選ぶことをおすすめします。
DisplayHDR400とHDR10の違い
- HDR10は映像の規格
- DisplayHDR400はモニターのHDR表現力を定めた規格
- このクラスのモニターで輝度差が大きく変わることはない
価格帯も似ているため比較の際に悩むところではありますが、「DisplayHDR400モニター」と「HDR10対応のみ表記されたモニター」では、要件の1つである「最小ピーク輝度」はほぼ同じなことが多く性能的にはあまり変わりません。
そのため気にしなくてもいいと言えますし、性能が保証されているDisplayHDR400のほうが安心感があるとも言えます。気になる方はモニターのピーク輝度がカタログや取説などに表記されているので調べてから購入するといいでしょう。
HDR対応のおすすめモニター3選
HDRを本当に楽しみたいのであれば、DisplayHDR600もしくは1000のモニターがおすすめです。そこで、筆者イチオシなHDR対応のモニターを紹介してみますね。
商品 | 画像 | Amazon | ポイント |
---|---|---|---|
DELL G3223Q | Amazonで見る | コストパフォーマンスに優れた、4K@144HzのDisplayHDR600モニター | |
LG 27GR95QE-B | Amazonで見る | 有機ELパネル採用。WQHD@240hzのゲーミングモニター | |
DELL U3223QE | Amazonで見る | デスクワークに最適。IPS Blackを採用しコントラストに優れたUSB-C対応モニター。 |
DELL G3223Q
- コスパ◎
- 144Hz対応でゲームもOK
- HDMI2.1でPS5も4K120Hzで遊べる
- ΔE<2の優れた色精度で動画や写真にもOK
- DisplayHDR600
G3223Qをおすすめする理由は1台でゲームも動画も写真もすべてOKなところです。
リフレッシュレートは144Hz、HDMI2.1に対応しているのでゲーミングPCはもちろんPS5も完全対応。それでいてΔE<2というクリエイター向けモニターには必須な色精度を持っています。
スピーカーレスな点には注意してください。そこそこの音が出ればいいならCreative Pebbleが安くておすすめできます。
なんでもこなせるマルチタスクなモニターを探しているならおすすめです。
LG 27GR95QE-B
- 有機ELパネル採用
- WQHD@240Hz
- 黒の締りや輝度、応答速度0.03msは液晶では実現できないレベル
有機ELパネルはピクセル自体が光るためバックライトが無いんです。そのため黒は無発光。なのでコントラストは1,500,000:1と液晶じゃ実現できないレベルなんですよね。
しかも有機ELのおかげで応答速度は0.03ms。240Hzのリフレッシュレートで残像も皆無に近いので最強なゲーミングモニターと言ってもいいと思います。
紹介した製品以外にも4Kとウルトラワイドの有機ELモデルをラインナップしているので環境に合わせて選べるのもポイントですね。
DELL U2723QE
- IPS Blackテクノロジーを採用し黒が黒い
- USB-Cによる給電(90W)や映像の入出力
- KVM機能
IPS Blackテクノロジーにより一般的なIPSパネルよりもコントラストを高めた製品。
USB-Cによる給電機能は最大90Wに対応していてDP Alt Modeにより映像の伝送機能も搭載しています。MSTによりモニターからモニターへの映像の伝送も可能。マルチモニターにも最適ですね。
KVM機能も搭載していて、複数のPCをつないでいてもマウスやキーボードの切替が楽なんですよね。
映像美はもちろんのことながら、機能性が豊富な4Kモニターです。
まとめ:HDR10とDisplayHDRは全然違う
本記事では、そもそもHDRとは何か。HDR10とDisplayHDRの違いやHDRモニターの選び方を解説しました。
記事の内容をまとめると、
- HDRは映像の黒つぶれや白飛びを少なくする技術。
- DisplayHDRはモニターのHDR性能を示している。
- HDR10は映像側の規格。モニターがHDR10の映像に対応していることを示すしている。
- DisplayHDRはピーク輝度やバックライト制御が今までのモニターとは違う。
- より良いHDR体験をしたいなら、DisplayHDRは600以上から選ぶのが吉。
といった感じでDisplayHDRはモニターの性能を表した規格であり、数字が大きいほど人間の目で見たようなきれいな映像を表現できるということになります。
もしHDRモニターを購入するのであれば、ぜひDisplayHDR600以上の製品を選んでみてください。
本記事がモニター選びの参考になれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。
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